専門家に相続の相談をした方がいいケース

今では、相続手続きに関する情報は、本やネットでたくさん紹介されています。

しかし、当たり前ですが、その内容は「一般論」であって、あなたにとって最適な内容、という訳ではありません。

例えば、ネットに書かれている「一般的に、こういう人は健康です」という情報を見るだけで、自分が健康かどうか？を判断する人はいないと思います。
健康診断を受けて、自分は健康なのか？自分に合った健康管理の仕方は何なのか？をお医者様に診てもらいますよね。

相続手続きについても、これと同じことが言えます。
ご自身に合った手続きをするには、やはり専門家に相談するのが一番確実です。

その中でも、特に以下のようなケースの場合には、専門家に相談されることをお勧めします。

（１）年数が経っている人
（２）相続人が二人以上いる人
（３）お金持ちではない人
（４）節約したい人
（５）相続税法などを調べる時間が取れない人

一つずつ、順番に解決いたします。

（１）年数が経っている人

実は、「故人が亡くなられてから、手続きをしないまま、何年も経ってしまっている」という方は、意外と多いものです。
実際、当事務所にも、こういった方がご相談に来られることがとても多いです。

亡くなって数年以上が経ってしまうと、手続きがより複雑になってしまうことが多いものです。
例えば、遺産分割協議書には、相続人全員の署名と捺印が必要ですが、年数が経ってしまうと、署名と捺印を集めるのも難しくなります。

また、「お父様が亡くなった際の手続きをしないまま、お母様が亡くなってしまった」というように、二次相続・三次相続になってしまうと、より複雑になってきます。

こうなると、専門家でないと解決が難しいので、早めに相談されることをお勧めいたします。

（２）相続人が二人以上いる人

相続人が、あなた一人だけであれば、手続きはそれほど難しくありません。
あなたが全てを相続すれば、それで済んでしまう話だからです。

しかし、相続人が二人以上いる場合には、様々な手続きが必要になってきます。
まず、「相続人の特定」が必要不可欠になります。
後になって、隠し子などが出てきて、遺産分割の話合いがやり直しになる、といったケースも起こりうるからです。

また、誰が何を相続すればいいか？を話し合って決めなければならないので、当人同士だと、感情も絡んでトラブルになりやすくなります。

こういったケースも、専門家に相談するのが一番確実です。

（３）お金持ちではない人

言葉がアレですが、実は「お金持ちではない人」の方が、相続で揉める事が多いのです。
一般的には、相続＝お金持ちの悩み、と思われがちですが、実際には逆なのです。

なぜかと言うと、「お金持ちでない人の方が、遺産分割の方法が限られてしまうから」です。

例えば、自宅などの不動産はもちろん、預貯金もたくさんあるお金持ちを想像してみて下さい。
この人が亡くなっても、相続人の一人が不動産を相続し、それと同じ額を他の相続人が預貯金（厳禁）を分割して相続する、ということができます。

しかし、自宅などの不動産と、預貯金が少ししか無い、となると、これができなくなります。
一般的に、不動産の額は高いので、仮にその価値が３０００万円だとしましょう。
この場合、この不動産を相続人の一人が相続すると、他の相続人は、３０００万円の価値のあるモノを相続できないと、不公平になります。
しかし、預貯金はわずかしかないので、上手く分割できない、ということが起こるのです。
結果的に、揉めやすくなる、ということです。

「不動産を売って、そのお金を分ければ良いのでは？」という考え方もありますが、その不動産にお子さんが住んでいたりするケースも多く、そうなると売却はできなくなってしまいます。

このように、不動産は分けることができないので、遺産分割が難しいのです。