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【事例】面識のない相続人が売却に反対。遺産分割が決裂したケース

「親戚同士だから話し合えばわかってくれるだろう」

相続において、この期待が最も裏切られやすいのが、亡くなった方の「甥(おい)・姪(めい)」が相続人となるケース(代襲相続)です。

今回は、当事務所でサポートさせていただいたものの、面識のほぼない一部の相続人がどうしても納得せず、遺産分割協議が最終的に決裂(不成立)となってしまった事例をご紹介します。

事例の概要:甥・姪8名による相続

  • 被相続人: 夫(すでに他界)、およびその妻

  • ご相談者: 妻の姉の娘(姪にあたるAさん)

  • 他の相続人: 妻の兄弟姉妹の子どもたち(甥・姪)合計7名

  • 遺産の内容: 古い自宅不動産のみ(査定額は約100万円程度)

ご夫婦ともにすでにお亡くなりになっており、お子様がいらっしゃらなかったため、妻側の兄弟姉妹へと相続権が移りました。しかし、兄弟姉妹もすでに他界されていたため、その子どもたちである「甥・姪」の合計8名が法定相続人となりました。

ご相談者のAさんは、他の7名の相続人とは「ほぼ面識がない(顔も連絡先も知らない)」という状態でした。

被相続人:夫(すでに他界)
  ∥
被相続人:妻(今回の被相続人)
  │
  ├─ 妻の兄(死亡)
  │    │
  │    ├─ 姪(非協力)
  │    ├─ 姪(非協力)
  │    └─ 甥B氏(非協力グループの代表格・価格に反対)
  │
  ├─ 妻の姉①(死亡)
  │    │
  │    ├─ 姪(合意済み)
  │    ├─ 甥(合意済み)
  │    ├─ 甥(合意済み)
  │    └─ 甥(合意済み)
  │
  └─ 妻の姉②(死亡)
       │
       └─ 姪Aさん(ご相談者・手続の代表者)

解決案としての「換価分割(かんかぶんかつ)」の提案

遺産は価値の低い古い不動産のみ(約100万円の値段しかつかない状態)でした。これを8人の共有名義にしても誰も得をしないため、ご相談者のAさんは以下の現実的な提案を行いました。

「Aさんが代表して不動産を単独で相続し、速やかに売却。その売却代金を、法定相続分に応じて8人で平等に分ける」

これを換価分割(かんかぶんかつ)と呼びます。不動産を公平に分けるための最も一般的な手法です。

当事務所が中立的な立場として窓口となり、他の相続人の方々へ事情を説明するお手紙をお送りしました。その結果、別系統の甥・姪である4名の方々からは、速やかにこのご提案に合意をいただくことができました。

特定のグループ(3名)の反対と、話し合いの決裂

しかし、ある兄弟の家系である特定のグループ(甥・姪の3名)からご協力が得られませんでした。

この3名のうち、代表格であるB氏(甥)が、「不動産の売却価格(約100万円)に納得がいかない。もっと高く売れるはずだ」と強く反対(いわゆるゴネる状態に)されたのです。

当事務所は弁護士ではないため、Aさんの代理人として相手を説得したり交渉したりすることはできません。あくまで「中立の立場」として、B氏に当事務所まで直接足をお運びいただき、現在の不動産市場の状況や、換価分割の手続きの流れについて客観的な事実をご説明させていただきました。

B氏は最後まで説明を聞いてお帰りになりましたが、結局ご納得いただくことはできず、合意のハンコをもらうことはできませんでした。

なぜ決裂してしまったのか?

遺産分割協議は「相続人全員の合意(実印)」がなければ成立しません。7名が賛成していても、1名でも反対すれば不動産の売却は一切できなくなります。

面識のない親族間では、「代表者が不動産を安く売って、裏で利益を抜いているのではないか?」といった根拠のない疑心暗鬼が生まれやすく、これが手続きを困難にする最大の要因です。

結果として、この件は当事者間での解決が不可能となり、家庭裁判所での調停や弁護士への引き継ぎが必要な「決裂」という形で、当事務所での手続きを終了せざるを得ませんでした。

この事例から学ぶ、必須の生前対策

「不動産にほとんど価値がないから、誰も欲しがらずに揉めないだろう」というのは大きな誤解です。価値が低いからこそ、現金で分ける際の手間や価格の認識ズレが生じ、トラブルに発展しやすいのです。

もし、亡くなったご夫婦が生前に「全財産をA(特定の姪)に相続させる」という遺言書を1枚書いていれば、今回のような悲劇は確実に防げました。甥・姪には遺留分(最低限の取り分を主張する権利)がないため、遺言書さえあれば、面識のない親族に一切連絡を取ることなく、Aさん単独で不動産を売却できたのです。

お子様がいらっしゃらないご夫婦の場合、将来、会ったこともない親族同士が遺産を巡って対立するリスクが非常に高くなります。

「残される親族に、面倒な手続きや無用な争いを押し付けたくない」とお考えの方は、お早めに川西市・宝塚市の瀬戸司法書士事務所までご相談いただき、確実な遺言書の作成をご検討ください。

 

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